Koppe’s diary

こっぺが思ったことを書いたり、物語を作ったりするぶろぐです。

こっぺが作った物語集

蓮の葉の上の宝物

僕は父だ。 その日、娘のリンナは門限の7時になっても家に帰ってこなかった。 リンナはまだ小学生で、携帯電話も持っていなく、連絡も取ることができないので僕と妻は心配していた。 「ガチャン」 家のドアが閉まる音がした。 僕と妻は晩飯を食べるのを中断…

戦いアリの㊙事情

僕は戦いアリだ。 僕らにはいろんな役割がある。 せっせか働く働きアリさんや、あかちゃんを産む女王アリ、力仕事や巣の見守りをする兵隊アリなどだ。 そして最近新たに加わった部署が、「戦いアリ」だ。 僕はそこに志望してみた。 履歴書には何も書けること…

新たな身体測定の項目  髪長測定

髪長測定 ある学校の身体測定で新たにこんな項目が追加された。 髪長(はっちょう)測定だ。そう、髪の長さを測定するのである。 そして校則の範囲外の髪長(はっちょう)の生徒には、罰を与える。 これは頭髪検査に精密な長さの測定が加わっただけ。ではな…

「こころ」を作る科学者

「こころ」を作る科学者 長年の研究によって、科学者ベネヒルはついに「こころ」のレシピを完成させた。 彼には共に心の研究をする仲間が2人いた。 しかし、その2人は実験の途中で命を落としてしまった。 ただ、ベネヒルはさほど悲しまなかった。 ほぼ毎日の…

天と地のコンパス

「北の扉を開くとそこには天国が、南の扉を開くとそこには地獄が広がっている。 扉を開けたら最後、もう引き返すことはできない。」 魔女サリヌバスはガラス張りの部屋から、下にいる二人の恋人を笑う。 「きゃっきゃっきゃぁー。 さて、選びなさい。あなた…

自分を縛るのは自分

自分を縛るのは自分 「これはしてはいけないこと」そう自分で思っていることも、あの子は平気でそれができたりするし、他の地域ではむしろ奨められていたりすることを考えると、「してはいけない」というのは自分が作り出すルールなのかも知れない。 「恥ず…

いのち

僕はまだ今も生きている。 ドクドクドクドクドクドク みんなもそう思っているんじゃないかな。 生きているひとも、生きたひとも。 ドクドクドクドクドクドク きっと気づかない。 いのちは無頓着だ。 きっと死ぬまで、いや、死んでもそうだ。 だからこんな風…

ろうそくとレム

ろうそくとレム レムは小さな声でささやきます。 「ゆっくりだよ。そうじゃないと、早くに消えてしまうからね」 「だから僕も、ゆっくり息を吸って、ゆっくり息を吐いているんだよ」 「君のためでもあるし、僕のためでもあるんだ」 「だって僕たちは同じもの…

永遠の宝 オーシャントーチ

オーシャントーチ。それは世界中の海賊たちが探し求める宝。 そのトーチは昇りゆく朝日よりも明るく、どんなに強い風が吹いても、どんなに激しい雨が降っても、どんなに水に沈めても、決して消えない伝説のトーチだという。 そして現在そのトーチは地球の深…

環境を変えたいのなら自分を、自分を変えたいのなら環境を変えなさい

ロイお婆さんは腹黒い。 ある日、町の少年カイトがロイお婆さんがやっている八百屋に買い物に行った。 少年カイトは、ロイお婆さんにこう言った。 「とまと2つと、きゅうり、それからだいこんをくれるかい?」 すると、ロイお婆さんは頼まれたものを店の奥…

ヒール教の二人

ヒール教の二人 「おねがいだ」 オースとラリアは、それぞれの心臓の前で両手をがっしり組んでいる。 二人とも目をつぶっていて、部屋の空気はピーンと張りつめている。 「おねがいだ。どうか、どうか」 彼らはヒール教に属している。 ヒール教とは、 「ヒー…

本当の自分とは

バサァァーーー 自分が散ってゆく。 僕は自分を探している。 僕は自分を磨いているのさ。 こうやって風の強い日には外に出て、自分を見つけようとしているのさ。 この中に、この中に本当の自分がいるのではないかと思いながらね。 僕は一週間しか学校という…

人形販売店のジレンマ

人形販売店のジレンマ ある日、哲学者のダニエル・サンバードは、人形に感情を吹き込むことに成功した。 つまり、人形の顔の表情を人形自身が変えることができるようになったということだ。 体を動かすことはできないものの、彼の発明は世界のビッグニュース…

とりとひと

とりとひと 目の前に大きなドザがいる。 彼はちいさな子ドザたちを統制しているようだ。 前方に並んでいる子ドザ達の色は黄色い。 大きなドザの色だけが茶色っぽい。 左手には棒のようなものを持っていて、頭には青い屋根のようなものをつけている。 胴には…

鹿さんと猫  

鹿さんと猫 ピタッ ピタッ ニャロはその日、この音で目が覚めた。 少し体を起こして、伸びをしてからまわりを見てみると、 床に濡れている所があることに気づく。 ピタッ ピタッ ピタッッ そして上から、何かがたれているらしい。 ニャロが見上げると、そこ…